損しないために知っておきたい「年金・給付金・退職時期」

税・社会保険・雇用保険・年金は連動します。特に「住民税が非課税かどうか」「年金の繰上げ/繰下げ」「在職老齢年金の基準額」「退職理由と時期」「各種給付金の対象」は、最終的な手取りに直結します。

住民税非課税ラインについて

年齢と世帯構成による比較

項目 単身(65歳未満) 単身(65歳以上) 夫婦(世帯主65歳以上)
非課税限度額(目安) 約105万円
公的年金等控除60万円+基礎控除43万円
約155万円
公的年金等控除110万円+基礎控除43万円
約211万円
公的年金等控除110万円+基礎控除43万円+配偶者控除33万円

夫婦それぞれが年金を受給している場合は、2人とも非課税ライン内でなければ
その世帯は「住民税非課税世帯」になりません!

✅ 例えば:
・2人とも65歳以上 → 各自 約155万円まで
・合計310万円でもOKですが、片方が155万円を超えるとNG

目安なので正式な判定は市区町村税務課に確認を
非課税判定は前年(1〜12月)の所得で行われます

※基礎控除の比較
所得税の基礎控除:48万円 → 2025年分から 58万円
住民税の基礎控除:43万円(変更なし)

なぜ非課税が重要か

非課税世帯になることで、住民税がかからないだけでなく、以下のようなメリットがあります

  • 国民健康保険料・介護保険料の軽減(最大7割減)
  • 高額療養費の自己負担上限が引き下げ
  • 介護サービス費用の軽減
  • 給付金・支援金(自治体による)の対象になりやすい

年金生活に入る場合、このラインを意識して収入設計をすることで、 実質的な可処分所得が大きく変わる。

年金の繰上げ受給シミュレーション

60歳0か月 〜 64歳11か月
1か月単位で請求でき、請求月数×0.4%ずつ終身で減額(最大▲24%)

年金を受け取りながら働く(在職老齢年金)

在職老齢年金は、60歳以上が厚生年金を受け取りながら働く場合に適用される調整制度です。
給与(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金(月額換算)の合計が下表の基準額を超えると、超過分の〈半額〉が年金から差し引かれます。
(老齢基礎年金は減額されません)

適用年度 調整が始まる基準額
(給与+厚生年金の月額合計)
対象年齢
2025年度 51万円 60歳以上 ※年齢で区別なし
2026年4月〜(予定) 62万円

計算イメージ(2025年度の場合)

  • 給与 30万円 + 厚生年金 25万円 = 55万円
    55万 − 51万 = 4万円 ▶ 4万円 × ½ = 2万円 減額
  • 給与 20万円 + 厚生年金 25万円 = 45万円
    基準額以下なので減額ゼロ

※調整されるのは 報酬比例部分(老齢厚生年金)だけです。
※将来的には在職老齢年金の見直し・廃止が議論されているらしい。

確定申告が必要かどうか
公的年金の年間収入が 400万円以下(確定申告不要制度の金額) でも、年金以外の所得(給与・副収入など)が 年間20万円超 なら確定申告が必要です。
→つまり「働きながら年金を受け取る人」は、大半が確定申告の対象になります。

知っておきたい主な給付金

60歳以上で働き続ける/再就職する場合に使える給付金のまとめ
雇用保険や傷病手当金(健康保険)などを活用することで、 手取りを底上げできます。
※制度・支給率は法改正で変わるため、最新情報はハローワーク等で確認を。

1️⃣ 高年齢雇用継続 基本給付金

  • 対象: 60~64歳で賃金が60歳到達時の 75%未満に低下して働く雇用保険被保険者
  • 支給額: 2025年4月以降に60歳に達する人は 賃金の10%を上限(それ以前は15%)
  • 期間: 60歳到達月~65歳到達月まで
  • 今後: 制度は2025年度から段階的に縮小・廃止方針

2️⃣ 高年齢再就職給付金

  • 対象: 60歳以降に離職 → 失業給付を受給 → 再就職し、 新賃金が離職前の 75%未満 になった人
  • 支給額: 賃金低下率に応じ 最大15% を国が補填(支給上限あり)
  • 期間: 再就職日の翌日から原則2年間(65歳到達で終了)

3️⃣ 高年齢求職者給付金(失業手当の特例)

  • 65歳以降に離職した場合は「基本手当」の代わりに一時金を受給
  • 被保険者期間に応じて 30日分 or 50日分 をまとめて支給

4️⃣ 教育訓練給付(再スキル取得支援)

  • 雇用保険の加入期間など条件を満たせば、年齢制限なしで受講費用の最大70%を国が負担
  • 専門実践・特定一般などコースにより上限10万~56万円

5️⃣ 介護休業給付 & 傷病手当金(健康保険)

  • 介護休業給付: 要介護家族1人につき通算93日まで、休業前賃金の67%を支給
  • 傷病手当金: 病気療養で4日以上働けないとき、標準報酬日額の67%を最長1年6か月支給
    ※60歳以降も条件は同じ。パート勤務でも健康保険加入なら対象

退職のタイミング

定年まで働いた場合と、それ以前に退職した場合の退職金の支給額を確認しておく

・多くの企業では「65歳の定年退職」で退職金が満額支給。
・一方で「定年前の自己都合退職」では、支給率が下がり減額されることがある。
・ただし、早期退職優遇制度がある企業では、逆に割増退職金を受け取れる場合も。

退職金の受け取り年

💡退職金は「受け取りの年」で住民税・国保料が大きく変わるケースがあります。

・退職金は「分離課税」でも、所得扱いとして住民税や国保料に影響する自治体が多い
・特に年末(12月)退職で受け取ると、同じ年の給与+退職所得で翌年の税・保険料が高くなることも。
翌年1月にずらして受け取るだけで、負担が数十万円軽減される場合があります。

どのくらいの退職金から意識すべき?

勤続年数 退職所得控除 注意ライン目安
20年 800万円 約866万円以上
25年 1,150万円 約1,216万円以上
30年 1,500万円 約1,566万円以上
35年 1,850万円 約1,916万円以上
40年 2,200万円 約2,266万円以上

※ 控除を66万円超えると課税退職所得が33万円を超え、住民税・国保料が課税対象になる可能性があります。

退職金額がこの目安を超える場合、退職金・年金・給与が同じ年度にならない工夫が有効。

退職時期で変わる失業給付

◆ 60〜64歳で退職すると…
・雇用保険の 基本手当(最大90〜300日) を受給できる。
・ただし 受給中は老齢年金を請求できず(同時受給NG)。

◆ 65歳で退職すると…
・失業給付は 高年齢求職者給付金(一時金30 or 50日)に縮小。
老齢年金を止めずに同時受給OKなので手続きがシンプル。

受取額の違い(モデルケース)

  • 😊 雇用保険給付(64歳11か月退職):150日 × 7,000円 ≒ 105万円
  • 😂 高年齢求職者給付金(65歳定年退職):50日 × 7,000円 ≒ 35万円

傷病手当金

傷病手当金は、業務外の病気やケガで4日以上連続して働けないときに、 健康保険から 標準報酬日額の67%が支給される制度です。
60歳以降も「会社員(被保険者)として加入中」なら年齢に関係なく使えます。

持病で働きづらい場合は、失業給付より傷病手当金の方が圧倒的に有利になるケースがあります。

  • 😊 傷病手当金:月給の約 67%最長1年6か月 支給
    20万円 × 0.67 × 18か月 ⇒ 約241万円
  • 😂 失業給付:自己都合なら通常 3〜6か月で打ち切り
    日額 5,000円 × 120日 ⇒ 約60万円

受給には「医師の労務不能証明」+「退職前の受給開始」が必要です。
退職前に準備しておけば、退職後も継続して受給できます。
支給要件・必要書類・申請方法などの詳細は、健康保険組合に確認。

◆ 支給要件 & 給付額

  • 待期3日:最初の連続3日間は無給(待期完成後、4日目から支給)
  • 支給額:標準報酬日額 × 2/3 ≒ 月給の約67%
  • 支給期間通算1年6か月

◆ 失業給付・老齢年金との調整

  • 失業給付(基本手当)とは同時受給不可。
    ─ 傷病手当金を優先する場合、ハローワークで「受給期間延長」手続きを。
  • 老齢年金との関係
    受け取る年金傷病手当金の扱い
    老齢厚生年金(報酬比例)同月に重なると差額支給
    ※年金が上回れば傷病手当金はゼロ
    老齢基礎年金のみ全額受給可(調整なし)

退職する前に体調が悪い場合など、受給要件(待期3日+医師診断)を満たしてから退職すると継続受給が可能。

年金の繰下げ受給シミュレーション

66歳0か月 〜 75歳0か月
1か月単位で請求でき、請求月数×0.7%ずつ終身で増額(最大+84%)

年金の繰下げ受給は、単に年金額を増やすだけでなく、「税の分散」や「他の給付金とのバランス調整」にも有効な選択肢ですが、「65歳1か月〜65歳11か月」という選択肢は存在せず、繰下げを利用したい人は少なくとも1年は待つ必要があります。

目的 繰下げ受給は? ポイント
退職金と年金の同年度重複を避けたい ◎ 有効 年金を1年遅らせれば、税・国保・介護保険料が軽減されやすい
失業給付と年金の重複を避けたい ◯ 有効 失業手当と年金は同時に受け取れないので、時期をずらして最大活用
将来の課税所得を低く保ちたい △ 要注意 繰下げで年金額が増えると、住民税や支給停止ラインに影響

加給年金・振替加算

配偶者が厚生年金を受給している場合 は、加給も振替も対象外です。

年齢差がある夫婦では、一定条件を満たすと加給年金や振替加算が受けられます。請求タイミングや配偶者の年齢要件に注意が必要です。

  • 加給年金 … 厚生年金の被保険者が65歳に達した際、配偶者や子ども(18歳年度末までの子)を扶養している場合に、老齢厚生年金に追加するかたちで支給される年金。
    年額 224,700円 + 子の加算(2025年度額)を上乗せ。
  • 振替加算 … 配偶者が65歳になり本人の基礎年金を受給し始めると、加給年金は終了し、配偶者側に 年額 最大111,400円(生年により異なる)が加算される。
  • ⚠ 要申請:年金請求時に「配偶者情報」を同時に記入しないと、受け取り漏れになるおそれがあります。

年金生活者支援給付金

低所得の年金受給者を支援するため、老齢基礎年金に 月額 5,450 円(2025年度) を基準とした上乗せが行われます。 以下3つの要件をすべて満たす場合が対象です。

◆ 支給要件

  1. 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  2. 同一世帯全員が市町村民税非課税
  3. 前年の年金収入+その他所得の合計が下表の範囲内
    生年月日満額給付 (円)補足給付の範囲 (円)
    昭和31年4月2日以後 0〜789,301 789,301〜889,300
    昭和31年4月1日以前 0〜787,701 787,701〜887,700

◆ 給付額(2025年度)

5,450円 × 納付済月数 ÷ 480 + 11,551円 × 免除月数 ÷ 480で計算
補足給付対象の場合は、この額に所得段階に応じた割合が掛けられます。

請求しなければ支給されません、 対象なら年金請求時に同時申請を。

まとめ

まずは「自分がいつ・何を受け取れるのか?」を把握し、ライフスタイルに合わせた計画を立てましょう。

  • 住民税非課税ラインを意識して年収+年金を調整(国保・介護保険料も大幅減)
  • 繰上げ受給+就労は在職老齢年金の基準額(月51万円→62万円)超えに注意
  • 65歳未満で退職するなら「失業給付 or 傷病手当金」を活用できる時期に合わせて退職日を決定
  • 繰下げ受給は年金増額メリットと住民税非課税ライン超過リスクを天秤にかける
  • 複雑なので、迷ったら年金事務所など専門家に早めに相談
    例えば:2022年以降は、基礎年金だけ先に繰上げる選択肢もある(厚生年金は65歳以降など)

🕓 更新日:2025年8月21日

※ 個人的な備忘録として、調べながら書いているブログで、書き足し、修正、アップデートを重ねています