東南アジア(大陸部・海洋部)通史

3行まとめ

  • 大陸部(アンコール・パガン等)と海洋部(シュリーヴィジャヤ・マジャパヒト等)が海域ネットで結節。
  • インド化とイスラーム化、中国海商・欧商の流入が政治・宗教・経済を再編。
  • 近代は植民地化と独立、戦後はASEAN・工業化・海上交通路の安全保障へ。

ミニ年表(ざっくり)

1〜8世紀扶南・真臘/チャンパ/初期港市(海域ネットの萌芽)
9〜13世紀アンコール最盛/パガン王朝/シュリーヴィジャヤ繁栄
13〜16世紀マジャパヒト/スコータイ→アユタヤ/マラッカ成立とイスラーム化
16〜19世紀欧商の進出(ポルトガル→オランダ・英・西・仏)/港市と香辛料交易
19〜1945年英領ビルマ・仏領インドシナ・蘭領東インド・米領フィリピン/独立運動
1945年〜独立・ASEAN・工業化・海上交通路(マラッカ海峡等)

東南アジア通史を俯瞰

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初期の扶南(1〜6世紀)と真臘(6〜8世紀)、チャンパ(2〜17世紀)が南シナ海の港市と結び、海域ネットが萌芽する。内陸ではパガン王朝(1044–1287)がミャンマーに仏教文化を定着させ、クメールのアンコール(9〜15世紀)は12世紀に最盛期を迎える。海洋部ではシュリーヴィジャヤ(7〜13世紀)がスマトラを基盤に海上シルクロードを掌握し、のちにマジャパヒト(1293–16世紀前半)がジャワで広域覇権を確立。タイのスコータイ(1238–1438)からアユタヤ(1351–1767)が台頭し、15世紀のマラッカ・スルタン国はイスラーム化の結節点となる。16世紀以降、ポルトガル(1511マラッカ占領)に続きオランダ・イギリス・スペイン・フランスが参入、香辛料と銀を軸に港市経済が再編される。19世紀、ビルマは英領、ベトナム・カンボジア・ラオスは仏領インドシナ、マレーは英領、インドネシアは蘭領東インド、フィリピンは米領へと編入され、唯一の緩衝国家としてシャム(タイ)が近代化により独立を維持。第二次大戦後、各地で独立が進み、インドネシア(1945独立宣言)、ベトナムは長期戦を経て1975統一。ASEANは1967年に発足し、シンガポール・マレーシア・タイ・ベトナム等で工業化が進む。今日の焦点は、南シナ海を含む海洋秩序とマラッカ海峡のシーレーン、域内の政治変動(インドネシアの改革、ミャンマーの政変)とサプライチェーンである。

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