3行まとめ
- 西アフリカの内陸帝国(ガーナ→マリ→ソンガイ)と東アフリカのスワヒリ港市、南部の国家形成(ジンバブエ等)が核。
- サハラ縦断交易(塩・金)とインド洋交易(象牙・金・奴隷・布)が地域を連結。
- 15世紀以降の大西洋奴隷貿易→19世紀の分割支配→20世紀の独立・地域統合へ。
ミニ年表(ざっくり)
前1千〜後1千年 | バンツー語群の拡散・鉄器化の進展 |
1〜7世紀 | アクスム(紅海)/サヘルで早期国家化 |
8〜13世紀 | ガーナ王国(6–13C)—サハラ交易 |
13〜15世紀 | マリ帝国(c.1230–c.1600)—マンサ・ムーサ(1324巡礼) |
15〜16世紀 | ソンガイ帝国(c.1464–1591)—1591モロッコ侵攻 |
10〜16世紀 | スワヒリ港市(キルワ・モンバサ等)/グレート・ジンバブエ(c.11–15C) |
15〜19世紀 | 大西洋奴隷貿易・内陸王国(ベニン・オヨ・コンゴ等) |
1884–85 | ベルリン会議→「アフリカ分割」/20世紀前半:植民地統治 |
1950s–70s | 独立の波(1960=アフリカの年)/1994:南アのアパルトヘイト終焉 |
2002– | AU発足、地域経済共同体の拡大 |
アフリカ通史を俯瞰
アフリカを時系列で読む
バンツー語群の拡散(前1千〜後1千年)と鉄器化が農耕と定住を広げ、サヘルでは早期国家が成立する。西アフリカではガーナ王国(6–13世紀)がサハラ縦断の金・塩交易を掌握し、続くマリ帝国(13–15世紀)はトンブクトゥを学術都市として発展させ、1324年のマンサ・ムーサのメッカ巡礼で国威を示した。15〜16世紀のソンガイ帝国はニジェール中流を支配したが、1591年のモロッコ遠征で衰退。東アフリカ沿岸では10〜16世紀にスワヒリ港市が繁栄し、アラビア・インド・中国と象牙・金・陶磁・布を交換、内陸ではグレート・ジンバブエ(11–15世紀)が金と家畜の富で石造遺構を築いた。15世紀末、ポルトガルが喜望峰(1488)を回りインド洋に進出、16世紀以降大西洋奴隷貿易が拡大して内陸政治経済を再編する。19世紀、奴隷貿易禁止の潮流や宣教師・商社・探検の増加ののち、1884–85年のベルリン会議を経て列強が境界線を画定、「アフリカ分割」で植民地支配が進んだ。20世紀中葉、独立の波が広がり1960年は「アフリカの年」と呼ばれる。エチオピアは1896年アドワで伊軍を破り主権を維持、南アではアパルトヘイトが1994年に終焉。21世紀はAU(2002)と地域経済共同体を軸に、資源開発・回廊整備・都市化・ガバナンスの課題に取り組む。
古代(〜10世紀)
西アフリカ | サハラ交易の萌芽、早期国家化 |
東アフリカ(スワヒリ) | インド洋港市の前史/アクスムの交流圏(紅海) |
中部・内陸 | バンツー拡散・鉄器・焼畑農耕の定着 |
南部アフリカ | 牧畜と金・銅資源の利用前史 |
中世(10〜15世紀)
西アフリカ | ガーナ→マリ(マンサ・ムーサ1324)→ソンガイ(15–16C) |
東アフリカ(スワヒリ) | キルワ・モンバサ・ソファラなど港市繁栄 |
中部・内陸 | グレート・ジンバブエ(11–15C)/リマンガ遺構の繁栄 |
南部アフリカ | 家畜・金の内陸—沿岸連結 |
近世(15〜18世紀)
西アフリカ | ベニン・オヨ・ダホメ/大西洋奴隷貿易の拡大 |
東アフリカ(スワヒリ) | ポルトガル→オマーン勢力の交替(17–18C) |
中部・内陸 | コンゴ・ンドンゴ王国と大西洋圏連結 |
南部アフリカ | オランダ→英勢力の進出とブールの拡散前史 |
近代(19世紀〜1945)
西アフリカ | 奴隷貿易禁止後のピーナッツ等輸出作物化/ソコト・カリフ国(1804–) |
東アフリカ | ザンジバルのクローブ経済/探検・商社の進出 |
中部・内陸 | ベルリン会議(1884–85)→コンゴ自由国・植民地化 |
南部アフリカ | 鉱山ブーム(ダイヤ・金)/英布戦争(1899–1902) |
現代(1945〜)
西アフリカ | 独立の波(1960年)/ECOWAS(1975) |
東アフリカ | EAC(1967/2000再建)/港湾・回廊整備 |
中部・内陸 | 資源・ガバナンス・越境河川の課題 |
南部アフリカ | アパルトヘイト終焉(1994)/SADC(1992) |
よくある誤解とチェック
- 「国家が少なかった」:×。サヘル帝国・港市・王国の多様な形態。
- 「奴隷=大西洋だけ」:×。サハラ縦断・インド洋ルートも長期に存在。
- 「植民地境界=古来の境界」:×。多くは19世紀末の画定産物。
- 「一様な文化圏」:×。言語・宗教・生業・都市/農村の差が大。
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