炭素14は、生き物に含まれる放射性炭素の“減り具合”から、死んだ時期を推定する方法。半減期は約5,730年。校正曲線で西暦に直し、海のものや古材・汚染に注意します。
何のこと?(一文で)
炭素14年代測定は、試料に残るC-14の割合から死後の経過時間を逆算して年代を求める方法です。石や金属のように炭素を含まないものは原則対象外。
なぜ分かる?(仕組み)
- C-14は空で作られる:宇宙線→大気中の窒素→C-14→CO₂として循環。
- 生きている間は入れ替わる:植物は光合成、動物は食事でC-14を取り込み続ける。
- 死んだら供給停止&減る一方:半減期は約5,730年。残り具合=経過時間。
どこまで測れる?どう測る?
- 実用レンジ:およそ300~50,000年(装置次第で最大~60,000年弱)。
- 測定法:今は AMS(加速器質量分析)が主流=ごく少量で高精度。
- 対象例:木炭・木片・種子・骨(コラーゲン)・貝・布・紙・煤(すす)。
西暦への直し方(校正:calibration)
そのままの値は放射性炭素年代。時代ごとのC-14量の揺れを補正するため、年輪・サンゴ・年縞で作った校正曲線に当ててcal BP / cal AD・BCで表します。
ズレやすい場面(要注意4点)
- 海のもの:海洋リザーバー効果で実年代より古く出がち(貝・海獣は専用補正)。
- 古材効果:大木の芯は伐採時より古い年を示す→年輪や辺材を優先。
- 爆弾ピーク:1950~60年代の核実験でC-14急増。逆に近代は年単位特定に使えることも。
- 汚染:接着剤・根・防腐剤などが混ざると若く/古くズレる→前処理で除去。
Q&A
- Q. BPって何年基準?
A. 1950年を“Present(今)”として、その前をBP(Before Present)で数えます。 - Q. 1点で十分?
A. 重要局面は複数点+他の根拠(層位・型式・文献)でクロスチェック。 - Q. 誤差は?
A. AMSで±20~60年が目安。校正後は範囲(何年~何年)で示します。