日本の外交は「何を残したか(史料)」「どこで接したか(場)」「いつどう変わったか(時間)」の三本柱で。 古代の遣唐使から近世の通信使、近代の条約改正、戦後の多国間協調までを一気に見渡します。
3つの軸
- 史料:国書・外交文書・条約・勘合・朱印状・通信使記録など。
- 場:都(飛鳥・平城京・江戸)/港(難波・博多・堺・長崎)/境界(対馬・琉球・蝦夷地)。
- 時間:制度と事件の推移(遣唐使→勘合→朱印船/鎖国像の再整理→条約改正→戦後体制)。
古代(飛鳥〜平安)
遣隋使・遣唐使で制度・文化・律令を取り込み、渤海や新羅と日本海ネットで往来。 「日出づる処…」の国書事件のように、称号や格式の扱いは国際秩序の理解に直結します。
- 史料:国書・朝貢記録・遣使の行路。
- 場:難波津・博多・都城(飛鳥・藤原京・平城京)。
- 時間:遣唐使の停止(894)後も東アジア交流は継続(渤海・宋との私貿易)。
中世(鎌倉〜室町)
日宋(私貿易)と日明(勘合貿易)、倭寇問題と海防、元寇による軍事接触。 博多・堺・対馬が節点となり、寺社・商人・守護が関与する多層的な対外関係が展開します。
- 史料:勘合・輸入陶磁・関係文書・元の国書。
- 場:博多・堺・対馬(宗氏)。
- 時間:14–15世紀に勘合システム/朝貢秩序が整備
近世(安土桃山〜江戸)
朱印船貿易・南蛮・紅毛との限定的通商、朝鮮通信使・琉球・対馬・松前による「多層外交」。 「鎖国」は完全閉鎖ではなく、統制された開放として理解するのが現在の標準的な見方です。
- 史料:朱印状・通商許可・通信使記録・オランダ風説書。
- 場:長崎出島・対馬府中・琉球那覇・松前・江戸。
- 時間:17世紀前半に体制確立→18世紀に運用安定。
近代(幕末〜昭和戦前)
開国条約と領事裁判権・関税自主権の制限、不平等条約改正へ。 朝鮮半島・台湾・満洲などでの条約・協定・戦争が外交と国内制度を大きく揺さぶりました。
- 史料:修好通商条約・追加条項・国際会議議事録。
- 場:横浜・函館・長崎などの開港場/外務省・各公使館。
- 時間:1894以降に条約改正進展、20世紀前半は勢力圏外交と国際連盟。
現代(戦後〜)
講和と安全保障、国連・多国間協調、経済協力(ODA)と近隣外交。 戦後は同盟・通商・援助・多国間枠組みを組み合わせる複線型外交が基本です。
- 史料:平和条約・安保条約・通商協定・共同声明。
- 場:外務省・在外公館・国際会議/主要港湾・空港。
- 時間:1950年代の体制整備→高度成長期の通商拡大→冷戦後の多国間協調・人間の安全保障。