ー 縄文のはじまり(G4)|海進の前夜(日本海岸の谷口クラスター)ー
本ノートは、俯瞰記事「海進の前夜:MWP-1A/1Bと『内湾のタネ』」の日本海側(越後〜能登)編です。 日本海沿岸における谷の出口(谷口)を地図上の節点として抽出し、内湾の“芽”を確認します。
※本稿は先史時代の内容です。「北陸道」は便宜的な地理ラベルとして用いています(行政区分ではありません)。
本論と確度
※このサイトでは、資料の信頼度(A / B / C)を簡単なラベルで示します。
詳しくは 凡例:、資料の信頼度(A / B / C)へ →
- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
1)海面帯の目安:「日本海沿岸・海面帯(概略)」
日本海沿岸・海面帯(能登沖・越後沖)は、MWP-1A/1B期の海岸線後退を示す±20m帯の概略線です。 これは一律の水位線ではなく、当時海水が入り込みやすい低地の目安として用います(地域差あり)。
※前提となる海面急上昇(MWP-1A)自体は確度A、帯の位置づけは地域差のため確度B。
2)節点の抽出:「能登・谷口C」「越後平野・河口D」
これらの節点は、後の縄文海進の“器”となり得る地形条件を備えます。最終判断には堆積学的証拠の照合が必要です。
- 能登・谷口C:半島基部の谷口。背後に旧河谷が接続し、入江化の素地(B)。
- 越後平野・河口D:大規模扇状地の河口域。海面上昇時に溺れ谷化・内湾化の可能性(B)。
3)入り込みの道筋:「日本海岸・仮説ライン2」
日本海岸・仮説ライン2は、河口 → 谷口 → 背後低地への水域の入り込みを示す概略の点線です。 地殻変動や地形改変の影響で細部は不明のため、現段階では確度C(仮説)として扱います。
4)裏づけの方向:「富山湾沖・堆積コア(仮)」「佐渡沖・堆積コア(仮)」
- 富山湾沖・堆積コア(仮):日本海側の代表点候補。層序・微化石の変化から内湾化のタイミングを読む(B)。
- 佐渡沖・堆積コア(仮):補助的候補点。データ整合の不確実性が高く現状は(C)。
上記のような堆積コアと地形分析(段丘・旧河谷)を合わせることで、節点の妥当性を段階的に検証していきます。
対応マップ
参考資料
- Deschamps, P. et al. (2012) — MWP-1Aの年代・規模の基礎。
- Lin, Y. et al. (2021) — MWP-1Aの寄与源・指紋の統合解析。
- Lambeck, K. et al. (2014) — LGM以降の相対海面(RSL)総説。
- Umitsu (1991) — 日本沿岸の完新世RSLと海岸地形のレビュー。