日本書紀(総合)

日本書紀の全体像(まず30秒)

  • 成立:起点は天武天皇の勅命(国史編纂の推進)。のちに舎人親王が総裁として編纂を統括し、720年に元正天皇へ奏上。『古事記』の太安万侶は補佐として関与。全30巻+系図(逸失)。
  • 性格:神代〜持統10年(696)の出来事を漢文編年体で整理。政治・外交・祭祀の枠組みを提示。
  • 読むコツ:記述の層(神話/伝承/記事)を見分け、**紀年(干支)**や他史料との照合で位置づける。

概説ガイドへの入口

まずは全体像 → つぎに読み方のコツ → 伝承期の扱い、の順で

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日本書紀の構造と確度

『日本書紀』は編年体で、伝承色の強い初期から、制度・外交が豊富な後期へと移ります。

※このサイトでは、叙述の性格(NS-1〜4)を簡単なラベルで示します。
詳しくは 凡例:確度メーター(NS/A–C)へ →

  • NS-1 実録寄り — 同時代一次史料や天文記録と高い整合
  • NS-2 照合可 — 外部資料との照合がおおむね可能(部分的に議論)
  • NS-3 伝承中心 — 外部照合は限定的(伝承優勢・史実要素あり)
  • NS-4 神話層 — 神話・寓話層
巻1–2 神代篇 NS-4 神話層
範囲天地開闢〜神武東征
主題・特徴国家神話・神々の系譜
読み方象徴・祭祀・地名の由来を手がかりに読む
巻3–5 伝承天皇篇(古墳前〜中期)NS-3 伝承中心NS-4 神話層
時期3〜5世紀前半(概算)
対象神武〜応神
主題・特徴王統伝承が中心。考古・外部史料とは点的に整合するが年代は大きく揺れる
読み方地名・祭祀・系譜、モチーフの重なり(東征・婚姻・征伐・開墾)に注目
巻6–10 古墳〈後期〉篇 NS-2 照合可NS-3 伝承中心
時期5世紀前半〜6世紀前半(概算)
対象仁徳〜雄略〜継体・安閑・宣化
主題・特徴金石文や半島記事と一部整合。年次は概算で幅取りが前提
読み方干支で位置取り→考古(鉄器・墓制・集落)とすり合わせ
巻11–20 飛鳥篇 NS-2 照合可(Aに近い区間を含む)
時期6世紀後半〜7世紀後半
対象欽明〜天智・天武
主題・特徴仏教受容・制度整備・対外関係。他史料との整合度が上がる
読み方外部史料(中国正史・三国史記)、天文記録との照合を積極利用
巻21–30 同時代篇 NS-1 実録寄りNS-2 照合可
時期7世紀後半〜持統10年(696年)
対象持統〜編纂直前
主題・特徴実録的記載が多く、官人名・詔勅・日付が具体的
読み方当時の暦(元嘉暦)と天文記録で年を西暦にひもづけ、外部史料(中国正史など)で確認