西アジア(オリエント:メソポタミア・イラン高原・アナトリア・レヴァント/エジプト)通史

3行まとめ

  • メソポタミアの都市革命に始まり、イラン高原・アナトリア・レヴァント/エジプトが交差する「回廊」が秩序を揺り動かす。
  • アケメネス〜ササン、正統・ウマイヤ・アッバース、セルジューク〜オスマンなど帝国連鎖が幹。
  • 近代は列強介入と国民国家化、戦後は資源・安全保障・宗教とアイデンティティの問題が焦点。

ミニ年表(ざっくり)

前4千〜前1千都市国家(ウル・ウルク)→バビロニア・アッシリア
前550〜アケメネス → アレクサンドロス → セレウコス/パルティア → ササン
7〜10世紀正統〜ウマイヤ(661–750)→アッバース(750–)/ファーティマ朝
11〜15世紀セルジューク/十字軍/モンゴル=イルハン → ティムール
16〜18世紀オスマン最盛/サファヴィー(1501–1736)
19〜1945年列強介入・タンジマート→第一次大戦・委任統治
1945年〜独立・冷戦・石油・地域紛争と再編

西アジア通史を俯瞰

西アジアを時系列で読む

前4千年紀にメソポタミアで都市と文字が成立し、古バビロニア(ハンムラビ、前18世紀)やアッシリアが広域支配を展開。前550年にアケメネス朝が創始され、王の道と行省制で帝国統合を進める。前4世紀、アレクサンドロスの遠征でヘレニズム世界が形成され、後継のセレウコス、ついでパルティア(前247–後224)、ササン(224–651)がイラン高原を軸にローマ/ビザンツと対峙。622年のヒジュラを画期としてイスラームが拡大し、ウマイヤ(661–750)からアッバース(750–1258)へ、バグダードが学術と交易の中心となる。11世紀にセルジューク、以後十字軍(1099)とマムルーク、イルハン(1256–1335)やティムールが秩序を揺らす。16世紀、オスマンが1517年にカイロを併合し地中海と紅海・黒海の結節に立ち、イランではサファヴィーがシーア派国家を確立、両者はザハーブ条約(1639)で境界を画した。19世紀はタンジマート(1839–)など改革の一方、英仏露の介入が強まり、第一次大戦(1914–18)でオスマンが解体、サイクス=ピコ(1916)と委任統治下で国境が再編。1948年以降はイスラエルと周辺の戦争(1967・1973)、1979年イラン革命、湾岸戦争(1990–91)と2003年のイラク戦争、2011年の「アラブの春」以降の内戦と再編を経て、石油・海上交通路・安全保障と宗派・民族の調整が現在の焦点である。

同じシリーズの他の記事

同じシリーズ