🕓 更新日:2025年5月23日
個人的な備忘録として、調べながら書いているブログです
書き足し、修正、アップデートを重ねています
上宮記
『上宮記』は、日本最古級の歴史書の1つ
→「用字法」や「天皇号の未使用」などから『古事記』『日本書紀』よりも早く成立
→ 記紀の記述とは異なる視点を含む
→ 記紀には登場しない人物名や別系統の系譜
・・・ただし、「記紀編纂後に作られたものではないか」という批判も根強く、成立時期については諸説分かれる(推古朝〜8世紀初頭説まで)
→ 現在は全文が失われており『釈日本紀』や『聖徳太子平氏伝雑勘文』などに逸文(後世の文献に引用)として残るのみ
→ 内容は聖徳太子とその一族の系譜
・・・特に✅『釈日本紀』巻十三に引用された「継体天皇の出自」ついては、「記紀の空白を埋めるために創作された」「記紀とは異なる皇統譜を記していた」など継体天皇の出自を批判する材料に
→ 聖徳太子著作の伝承があるが
・・・実際には聖徳太子の著作ではなく、後代の仮託とされる
→ 成立の背景
・・・聖徳太子や山背大兄王を称揚する目的の「上宮王家系の史書」とする説
・・・蘇我氏の正当性を強調した『天皇記』を下敷きに改作したとする説など
✅『釈日本紀』とは?
→ 鎌倉時代の学者・卜部兼方が書いた、『日本書紀』全30巻に対する注釈書
→ 多くの古代文献からの引用を含む
→ 『上宮記』の逸文もここに残されている
新撰姓氏録
『新撰姓氏録』は、平安初期にまとめられた氏族リストで、古代豪族の由来や分類を知る重要な資料
皇族系・神代系・渡来系に分かれており、日本の古代氏族構造を読み解くヒントがつまっている
平安時代初期の815年に、嵯峨天皇の命により編纂された古代氏族名鑑
・・・主に京と畿内に住む1182氏族の出自や由来を記録
・・・各氏族は、「皇別」「神別」「諸蕃」の3つに分類を、さらに細かく分類
・・・全30巻構成(現存するのは抄録と逸文のみで、本文は失われている)
・・・内容には一部矛盾や誤記もあり
古代氏族・家格の研究に欠かせない史料
皇別 天皇の子孫とされる氏族 | 335氏 | 橘、清原、源など |
神別 神代の神々の子孫とされる氏族 | 404氏 | 中臣、忌部、物部など |
諸蕃 渡来系の氏族 | 326氏 | 秦、大蔵、漢氏など |
不明・分類外 どこにも属さない氏族 | 117氏 |
神別の内訳
天神 | 天神(高天原系)からの子孫 | 藤原氏、大中臣氏など (246氏) |
天孫 | ニニギの子孫(三代以内) | 尾張氏、出雲氏、隼人系など (128氏) |
地祇 | 土着神の子孫 | 安曇氏、弓削氏など (30氏) |
日本書紀以外の国史(続日本紀など)
720年 日本書紀 | 神代〜持統天皇(697年) |
797年 続日本紀 | 文武〜桓武天皇(697〜791年) |
840年 日本後紀 | 桓武〜淳和天皇(792〜833年) |
869年 続日本後紀 | 仁明天皇(833〜850年) |
879年 文徳実録 | 文徳天皇(850〜858年) |
901年 日本三代実録 | 清和・陽成・光孝天皇(858〜887年) |
→ 📌901年『日本三代実録』を最後に、朝廷による正史の編纂は途絶える
・・・その後は、公家や僧侶が書き残した「日記」や「記録帳」が、手がかりとる
・・・ 例)応仁の乱のころ『看聞御記』『大乗院寺社雑事記』などが貴重な記録