更新世|氷期がつくった「人類の舞台」

更新世は、約258万年前〜約1万1700年前の長い時代。氷期と間氷期がくり返され、海面や気候が大きくゆれ動きました。 この環境変化が地形・生態系を変え、人類(ホモ・サピエンス)の拡散にも大きな影響を与えました。

30秒で要点

  • いつ?: 約258万年前〜約1万1700年前(完新世の直前)。
  • どんな特徴? :氷期と間氷期のくり返し→海面の上下・陸橋の出現消失。
  • 人類史との関係 :現生人類が現れ、アフリカ外へ広がった時代。
  • なぜ大事?: 地形・動植物・文化の基盤がここで形づくられ、今の環境問題を理解する手がかりになる。

更新世ってどんな時代?

地球はもともと温度が一定ではなく、氷期(寒い時期)と間氷期(暖かい時期)が交互にめぐります。 更新世はこの寒暖リズムがとくに強く表れた「氷河時代の本編」です。 氷床(大きな氷のかたまり)が北半球や山岳に広がると、海水が氷として陸にとどまり、海面は低下します。

時間の流れととなり合う時代

前の時代鮮新世(Pliocene)…だんだん寒くなっていく。
更新世(Pleistocene)約258万年前〜約1万1700年前。
後の時代完新世(Holocene)…現在をふくむ暖かい時代。

地球に何が起きた?(気候・海面・地形)

氷期と間氷期のリズム

地球の公転や自転のわずかな変化(ミランコビッチ・サイクル)などが重なり、数万年スケールで寒暖がくり返されます。 寒くなると氷床が拡大し、海面が最大で100メートル以上低下することもあります。

陸橋の出現と消失

  • ベーリング地峡(アジア↔北米)…海面が下がると陸づづきに。
  • スンダ棚・サフル棚(東南アジア・オセアニア周辺)…島々のあいだが近づき、渡りやすくなる部分も。

更新世の動植物と人類

メガファウナ(大型動物)

マンモス、サーベルタイガー、ジャイアントバイソンなど、大型哺乳類が各地でくらしていました。 気候変動や人間の活動の影響で、時代の終わりには多くが姿を消します。

人類の進化と拡散

  • ホモ・サピエンスの出現(およそ30万年前)。
  • アフリカを出て、ユーラシア・オセアニア・アメリカへと広がる。
  • 技術と文化:石器の高度化(ブレード・マイクロリス等)、装飾品・顔料の利用、骨角牙製の道具など。

どうやって「昔の地球」を調べるの?(証拠の読み方)

  • 氷床コア:南極やグリーンランドの氷を筒状に抜き取り、空気や化学成分から過去の気温・大気を推定。
  • 海底堆積物コア:貝やプランクトンのカルシウムの同位体から海水温などを復元。
  • 湖底・洞窟:花粉、年縞、鍾乳石の成分から、地域の気候や植生の変化を読み取る。
  • 考古資料:石器・動物骨・人骨・住居跡・顔料・装飾品から、人の暮らしと移動を再現。

用語ミニ

氷期 / 間氷期氷期は寒冷で氷床が拡大する時期、間氷期は比較的あたたかい時期。更新世ではこのくり返しがはっきりしている。
海面低下氷床に海水が“貯金”されるため海面が下がる現象。陸地が広がり、島と島の距離が縮まる。
陸橋ふだんは海だが、海面が下がると陸として現れる部分。生物や人がわたりやすくなる。