ー 縄文のはじまり(G4)|最古級の土器(草創期キャンプの立地と遺物組成) ー
草創期のキャンプは、河川段丘・海岸洞窟・内湾縁辺に集中する傾向があり、初期土器は日常の煮炊きに使われた。大平山元I遺跡(河川段丘)や福井洞窟(海岸洞窟)は、その使用実態を示す代表例である。
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立地の三タイプ
- 河川段丘型:水・木の実・動物にアクセス良好。段丘は洪水に強く、居住面確保が容易。
- 海岸洞窟型:海に近く、風雨を避けやすい。海産資源と結びつく。
- 内湾縁辺型:汽水域の多様な資源。仕掛け漁や採集と相性が良い。
遺物組成:石器+土器の組み合わせ
石器(掻器・尖頭器・マイクロブレード残存など)と深鉢系の初期土器が同層に現れることが多い。土器は煮出し・軟化、石器は加工・解体に役割分担。
ケーススタディ
- 大平山元I遺跡(河川段丘):日本最古級の土器片とキャンプ層。蟹田川左岸の河川段丘に立地。段丘+川資源+煮炊きの定番構図。
- 上黒岩岩陰遺跡(河川段丘・岩陰):間谷の河川沿いにある岩陰キャンプ。草創〜早期の居住層をもち、無文〜細隆線文系土器や線刻礫(女性像等)がまとまって確認されている。
- 福井洞窟(海岸洞窟):佐世保湾(内湾)近傍で初期土器が確認。マイクロブレード文化と重なり、海産利用+煮炊きを示唆する重要事例。
確度 A/B/C
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- A:立地の三タイプが草創期に多いこと(層位・遺物伴出の一次情報)。
- B:土器の主用途が煮炊き中心であること(脂質残留分析など複合証拠)。
- C:居住の季節性や人数規模など、運営の細部は地域差が大きく推定段階。