MIS(Marine Isotope Stages)は、海底にたまった微小生物の殻の酸素同位体比(δ18O)から作られた「氷期・間氷期の番号表」です。偶数=寒い(氷期)、奇数=暖かい(間氷期)が基本。
30秒要点
- 番号の意味:MISは1,2,3…と番号化。偶数=氷期、奇数=間氷期。
- 細かい枝番:MIS 3a/3c のように短い暖かさ(間氷期内の小山=間氷期亜期)が枝番で表現される。
- Gとの対応:本特集のG1〜G3は、ざっくり G1=MIS 3後半、G2=MIS 2、G3=MIS 2末〜MIS 1入口 に相当。
MISって何?どう作る?
海にすむ有孔虫の殻には、海水のδ18O(重い酸素と軽い酸素の割合)が記録されます。氷が増えると海水のδ18Oは重くなり(氷期)、氷が減ると軽くなります(間氷期)。この上下のリズムをたどって、地球規模の「寒い・暖かい」を番号で並べたのがMISです。
MISの読み方
- 偶数=寒い/奇数=暖かい
MIS 2(偶数)は氷期のピークを含み、MIS 1(奇数)は今の間氷期(完新世)。番号が小さいほど新しい時代です。 - 枝番(MIS 3a/3cなど)
長い期間の中にある小さな“暖かい波”や“寒い波”を区別するための記号です。細かい枝番は研究により多少の幅があります。 - 年代は「目安の幅」で理解
地域や方法で数千年レベルのズレがあるため、「~16–13ka」などレンジで把握するのが安全です。
本特集のGとMISの目安対応
G1(-050000〜-030000) | 主にMIS 3(~57–29ka)の後半に相当。比較的温和なゆらぎが多い時期。 |
G2(-030000〜-020000) | MIS 2(~29–14.7ka)中心。最終氷期最大期(LGM, ~26.5–19ka)を含む寒冷ピーク。 |
G3(-020000〜-012000) | MIS 2末〜MIS 1入口。退氷で沿岸線が変わり、~16–13kaに沿岸/内陸回廊の可用性が高まる。 |
よくある誤解と注意
- MISは“世界の平均傾向”。地域ごとの気候や生態はズレます。
- 番号=年代の絶対値ではない。同位体曲線の整合で決まるため、境界の年数は研究更新で少し動くことがあります。
- 地図の海岸線に注意。氷期は海面が低く、今は海の場所が当時は陸だったことがあります。