ー ウルクの都市革命|比較(良渚:水利と玉儀礼)ー
前3300〜前3000年ごろ、良渚古城遺址(浙江・杭州)では、巨大な堤・運河・貯水池の水利インフラと、玉器を中心とする儀礼が結びついた都市の“骨格”が確認できる。強く言えるのは「水利と儀礼による中心地の成立」。一方で、ウルク(ワルカ)のような印章・原初文字の体系化は現状では限定的に見える。
対応マップ
ピンの色: #673AB7
どこ・いつ・何が言える?
- 場所:長江下流域の城址・周辺群集。
- 年代:前3300〜前2300のうち、本比較では前3300〜前3000に焦点。
- 言えること:堤・運河・貯水池が段階的に整備され、治水と水運を支える大規模土木が存在。玉器・祭祀施設は権威の可視化を示す。
水利と都市のしくみ(要点)
- 堤・運河の連動:高堤→低堤→堤道と段階的に水を制御。
- 水運:水域ネットワークによる資源・人の移動。
- 儀礼空間:祭祀施設と玉器が中心地の威信を示す。
ウルクとの比較で見える差分
ウルク(ワルカ)は印章・度量衡・記録が揃う「制度技術の束」が強い。一方、良渚は水利×儀礼が核で、記録の体系化は現状では限定的(可視化度の差)。
注意点(見え方のバイアス)
出土や保存状況により、記録・印章の可視度が地域間で差が出やすい点に注意。「記録・印章の可視度」は、実際の有無だけでなく、材料・環境・埋蔵状況・回収精度に強く左右される。ウルク(乾燥×粘土)は見えやすく、良渚(湿潤×有機)は見えにくい。ゆえに“見えない=なかった”とは限らない。
確度 A/B/C
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- 大規模水利複合・都市核:A
- 玉儀礼による権威の可視化:A
- 記録・印章体系の限定的可視性:B