ー 【特集】鉄と水田の拡大、クニの萌芽 ー
内海“回廊”は、関門海峡(壇ノ浦沖)—鞆の浦—備讃瀬戸(児島水道)—難波津(なにわづ)のように、島伝い・風待ちでつなぐ節点の連鎖として機能しました。G9(紀元前100年〜西暦100年)では、短距離の分割航走と寄泊・補給の場が常態化し、物資と情報を“安全域”ごとにリレーする仕組みが可視化します。
潮・風・視程の“窓”で分割航走
内海は潮汐と季節風に大きく左右されます。広域直行ではなく、見通しと避泊が確保できる範囲での分割航走が合理的です。そこで狭水道・良港・河口が“節点”化します。
典型ルート
地図の「内海・幹線ルート(関門→難波)」は、関門海峡(壇ノ浦沖)→鞆の浦→備讃瀬戸(児島水道)→難波津(なにわづ)を目安点として結ぶ概略線です。島影・潮流・風待ち条件から、このような“刻み”の構造が現実的でした。
代表的な節点
※本ノートの地名は、後世呼称を含む概念域として表記します(例:難波津→「大阪湾東縁(河口三角州域/後世・難波)」、鞆の浦→「瀬戸内中央部(備後沿岸・潮待ち場)」)。
- 関門海峡(壇ノ浦沖):九州—本州の閾
日本海と瀬戸内の境目。潮流が強く、視程と潮目の“窓”を見極めて通過する要衝。 - 鞆の浦:瀬戸内中央の潮待ち港
潮待ち・風待ちに適した自然港。内海中央の補給・待機の節点で、内海リレーに欠かせません。 - 備讃瀬戸(児島水道):多島海の狭水道
多島海の視程と潮汐が航走を分割させる地点群。転回・退避が効くためリスク低減。 - 難波津:河口の集散点
河川系(大和川・淀川)と内海航路の結節。河口域の寄港・再集積の場として機能。
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確度(A/B/C)
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- A:節点の地形的性格(狭水道・良港・河口=航走に有利な“安全域”)
- B:関門→鞆の浦→備讃瀬戸→難波津という刻み構造の往還モデル
- C:各節点の個別の寄泊地・船着場の特定(地点レベルの確定は後世資料による補完が多い)
