岩面画が語る牛の景観 — タドラルト・アカクス(G5〜直後)

ー サハラの牧畜化と“乳の革命”|岩面画が語る牛の景観 ー

タドラルト・アカクスは、リビア南西部に広がる砂岩の山地で、谷(ワジ)沿いの岩陰に先史時代の絵画・線刻が集中する世界的な岩面芸術のエリアです。様式は大きく「ラウンドヘッド期(紀元前8,000年 〜 紀元前6,000年)」から「パストラル期(紀元前5,500年 〜 紀元前2,000年)」へ移り変わり、牛の群れや牧畜場面はG5の末〜G5直後(前5千年紀)にかけて本格化します。Uan Muhuggiag をはじめ山地内部の拠点と照らすと、水辺の生活・季節移動・乳加工が重なる“牛の景観”が立ち上がっていたことが見えてきます。

タドラルト・アカクスの岩絵(赤色顔料の人像群)
画像:『Pictograms, Tadrart Acacus(Libya, 2007)』 © Luca GaluzziCC BY-SA 2.5出典:Wikimedia Commons

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このノートはG5期に表示
ピンの色: #1A237E
レイヤー:01/04/05です

初期表示レイヤー:01, 03, 04, 05 / 版:v202501006

何を描いた?:家畜・乳・移動

牛の群れ、搾乳に関連する可能性のある場面、家族と家畜の移動らしき描写が見られる。時期区分は重なり合うが、湿潤化と牧畜化の流れに合う。

考古との接続

土器脂質の結果(乳・植物・魚)や、Takarkori rock shelterなどの拠点立地と照らし合わせると、“水辺+移動+乳加工”という生活像が立体化する。

確度 A/B/C

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  • A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
  • B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
  • C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
  • B:岩面画の主題(牛・群れ・移動)と牧畜景観の整合。
  • B:遺跡データ(脂質・立地)との相互補強。
  • C:個々の場面の解釈(儀礼か日常か)は仮説段階。