ー ウルクの都市革命|都市の臨界 (ウルク拡張ネットワーク)ー
後期ウルク期(おおよそ前3700〜前3100年)に、ウルク(ワルカ)由来の物質文化・記録様式がスーサ(イラン)・ハブバ・カビラ(シリア)・ゴディン・テペ(イラン)など周辺に広がる現象が確認される。性格は「植民」単線ではなく、拠点ごとに役割が異なる多様な越境接続として再評価が進む。
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何をもって「拡張」というか
ウルク様式の建築・器・印章・行政技術(記録)が、周辺拠点でまとまって出る。交易・資源確保・中継の観点から説明され、いわゆる「ウルク拡張」と呼ばれてきた。
事例の相違:ハブバ vs. ゴディン
シリアのハブバ・カビラは計画性の高い拠点として知られ、ゴディン・テペは性格が異なり、必ずしも同一モデルで語れない。拠点の寿命や機能が多様である点が近年の焦点。
スーサと「境界」
スーサではウルク系の記録・器物と在地要素が混在し、「エラム世界」と「南メソポタミア」の境界的な接触面が観察される。
現在の見方:植民か、ネットワークか
後期ウルク期の広がりは、拠点差を踏まえるとネットワーク>植民で説明するのが妥当で、例外的にハブバ・カビラのような準コロニー的計画拠点が見られ、共通の媒介は印章・度量衡・原初文字である。
確度 A/B/C
※このサイトでは、資料の信頼度(A / B / C)を簡単なラベルで示します。
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- 後期ウルク様式の広域分布(事実認定):A(多数の発掘・比較)
- 統一モデル(“植民”一択)ではない:B(拠点差の指摘が整合)