車輪・犂:技術束と物流コスト

ー ウルクの都市革命|比較 (車輪・犂:技術束と物流コスト)ー

前3500〜前3000年ごろ、車輪と輓獣牽引の犂(すき)はユーラシアの複数地域で並行して可視化する。技術そのものは地域共有だが、ウルク(ワルカ)ではこれに印章・度量衡・記録という制度技術を重ね、遠隔取引を「共通のやり方」で回した点が特徴的。

  • 南メソポタミア〜スーサ概略圏(前3500–3200):物理×制度技術を束ね、遠隔取引を実装。錨点:ウルク(ワルカ)
  • 北コーカサス・マイコープ概略圏(前3500–3000):車輪証拠+高位墓、東西交流の結節域。錨点:マイコープ文化の墳墓群(北コーカサス)
  • 中欧・ブロノツィツェ概略圏(前3500–3350):刻画土器が車両使用を示唆。錨点:ブロノツィツェ(ポーランド)

※本項は便宜上「世界横断」として一括表記。 範囲は上記の帯状域(前4000〜3000)。東アジアの第二波は対象外。

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ピンの色: #673AB7

初期表示レイヤー:01, 04, 05 / 版:v202501008

いつ・どこで:同時期の出現

  • 車輪:前4千年紀後半に近接地域で並行証拠(図像・刻画・実物)。
  • 犂:前3千年紀に実体証拠が増えるが、地域差あり(耕起痕・牽引痕の議論を含む)。

何が変わる?—コスト構造の転換

  • 輸送コスト↓:車輪車で大量搬送が容易に。
  • 耕作コスト↓:犂で耕起効率が上がる(動物牽引)。

技術“束”の運用:物理×制度の噛み合い

ウルク(ワルカ)の強みは、物理技術(車輪・犂)制度技術(印章・度量衡・記録)の組合せ。
同じ単位で測り、封印で責任を示し、記録で数量と品目を共有することで、拠点間の取引を同じルールで運用でき、信頼と監査性が高まる。

確度 A/B/C

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  • A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
  • B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
  • C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
  • 車輪の同時期的出現(近接地域での並行証拠):A
  • 犂の普及=地域差・段階差(総説での一致):B
  • 「物理×制度」のネットワーク効果(理論+事例の整合):B