ー【特集】秦から漢へ「原シルクロード」|秦の統一は何を整えた? ー
統一直後(紀元前221年以降)の秦は、度量衡・貨幣・文字・車軸幅をそろえ、「測る・数える・書く・運ぶ」を全国で互換化した。これにより郡県行政・軍の兵站・市場取引が同じルールで回り、漢代の広域国家運営の土台になった(浸透度は地域差あり)。
いつ・どこまで言えるか
- いつ:前221〜前210年にかけて布告と運用が進む。
- どこまで:主要幹線・都市圏では確実に機能。山間・辺縁は時差と揺れが残る。
何をそろえたか
- 度量衡:重さ・長さ・容積のものさしを公的基準器で統一。
- 貨幣:半両銭を基軸に税・俸給・市の決済単位を共通化。
- 文字:小篆→隷書系で表記ゆれを抑え、公文書の読み違いを減らす。
- 車軸幅(車同軌):車輪の幅を共通化=道路の轍(わだち)を事実上の“レール”に。
なぜ効いたか(効果の筋道)
- 行政:郡県の報告・集計が同単位で即比較でき、監察が早い。
- 軍事・輸送:兵站量の計算が容易、幹線での渋滞が減る。
- 市場:遠隔地間でも“同じ計り・同じ銭”で信頼が上がる。
具体例
政都圏の「咸陽(Xianyang)」から幹線に基準器・詔令が下り、各郡県に配布・運用されたと考えられる。都市圏ほど実装が速く、山地・辺縁ほど遅れるのが一般的なパターン。
あわせて、「秦始皇帝陵(兵馬俑)」は大規模動員と資材規格の実例でもある。煉瓦・瓦・兵馬俑部材の寸法や作業単位の反復は、度量衡と書式が整っていたからこそ広域で再現できたことを示す。
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確度 A/B/C
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- A:標準器・銭貨・公文書など一次級の物証が複数系統で確認。
- B:全国一律の徹底度は地域差・時差があり、空間的なムラの推定を要する。