ー 【特集】秦から漢へ「原シルクロード」|秦の統一は何を整えた? ー
睡虎地・里耶・放馬灘の竹簡は、法令・文書様式・郡県の実務・輸送手順を一次級で見せる“運用ログ”。幹線(とくに秦直道)の整備とセットで、命令→通達→記録→点検が規格化されていたことが具体的にわかる。
いつ・どこまで言えるか
- いつ:秦末〜前漢初(前3世紀末〜前2世紀)の資料群。
- どこまで:法・帳票・書式・文書流通の実例は一次級で確実(A)。ただし全国平均像と断定はできない(B)。
主な竹簡と示す中身
- 「睡虎地(Shuǐhǔdì)」:法律・獄律など。規則そのものの条文が読め、標準化の根拠になる。
- 「里耶(Liyè)」:県レベルの往復文書・配給・人員簿。日付・数量・担当の書式が具体。
- 「放馬灘(Fàngmǎtān)」:地図・実務表。路次の把握や物資配分の視覚化に役立つ。
秦直道との関係(どうつながる?)
幹線(秦直道を含む)で人馬・文書が速く確実に移動できる前提があるから、法で決めた処理(受付→回覧→記録→監査)が全域で似たスピード感で回る。竹簡は、その流れの現場記録として機能している。
北方運用の現場として、「九原(北辺の郡治・概略)」をおさえると文書と道路の結びつきが見えやすい。郡治は物資・人員・文書の集配ハブで、直道で本営とつながる。所在地の細部は時期差で揺れるが(確度B)、郡治=幹線節点という関係自体は一次・地理で裏づく(確度A/B)。
対応マップ
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確度 A/B/C
※このサイトでは、資料の信頼度(A / B / C)を簡単なラベルで示します。
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- A 公的・一次級で直接確認(一次が複数一致でもA)
- B 複数一次情報からの強い推定(反論や未確定部分あり)
- C 仮説寄り(一次が乏しい/矛盾/作業仮説段階)
- A:各出土体の実在・年代・大枠内容は一次資料で裏づく。
- B:出土地点の偏りにより、帝国全域の“平均運用”と断定はできない。