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『愛する盗賊様よ』の元ネタは?ホン・ギルドンは実在した|登場人物のモデルを史実で解説

U-NEXT配信韓国ドラマ『愛する盗賊様よ』。昼は医女、夜は盗賊「吉同(キルドン)」になるヒロインと、大君の魂が入れ替わる、ファンタジー時代劇です。

観ながらずっと気になっていたのが、「これ、燕山君(ヨンサングン)の時代がモデルだよね?」ということ。

結論から言うと、物語そのものは創作です。でも、ホン・ギルドンは実在した盗賊ですし、登場人物の多くには「この人がモデルかな?」と思える実在の人物がいます。

この記事では、ドラマを観た人の「?」を史実で埋めていきます。

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まず結論:どこまでが史実?

史実?
ホン・ギルドンという盗賊実在
ギルドンの正体が女性の医女創作
魂の入れ替わり創作
王イ・ギュ、大君イ・ヨル架空の人物(モデルはいそう)
時代背景燕山君のころがモデル

① ホン・ギルドンは実在した

燕山君の時代に捕まった「強盗」

ホン・ギルドン(洪吉同)は、燕山君の時代に実在した盗賊です。1500年に捕らえられたことが、燕山君の時代の記録『燕山君日記』に残っています。

記録によると、ギルドンは玉の飾りがついた帽子をかぶり、赤い帯の官服を着て、「僉知(チョムジ)」という正三品の武官を名乗っていたそうです。偽物の高官になりすまして、仲間を率いていたんですね。

ただし、記録の中のギルドンは「義賊」ではなく、あくまで強盗として書かれています。

捕まったあと、処刑されたの?

実は、わかっていません。

『朝鮮王朝実録』にはホン・ギルドンに関する記録が11回出てきますが、本人がどんな罰を受けたのかは、どこにも書かれていないのです。

記録に残っているのは、仲間や協力者の処罰です。

  • ギルドンの悪事を知りながら黙っていた地方の役人たちは、辺境へ流された
  • ギルドンをかばい、都に住む家まで用意していた高官のオム・グィソンは、重い刑を受けて獄中で亡くなった

地方の役人たちは、ギルドンの正体に気づいていながら、仕返しが怖くて見て見ぬふりをしていたそうです。それほどの大物だったのに、本人の最期だけが記録から抜け落ちているのは不思議ですね。

捕まったあとも続いた「ギルドン人気」

面白いのは、ギルドンが捕まったあとの話です。

約30年後の1530年、中宗の時代に「順石(スンソク)」という強盗の一味が捕まりました。このとき朝廷は、30年前のホン・ギルドンを思い出し、燕山君の時代の取り調べのやり方を持ち出して対応しています。

それくらい、ホン・ギルドンは人々の記憶に残る存在だったのです。

「義賊ホン・ギルドン」は小説から

私たちが知っている「金持ちから奪い、貧しい人に配る義賊ホン・ギルドン」のイメージは、後の時代の小説『洪吉童伝(ホンギルトンジョン)』から広まりました。作者は許筠(ホ・ギュン)とされ、ハングルで書かれた最初期の小説として知られています。

小説のギルドンは、両班の父と身分の低い母のあいだに生まれた庶子です。父を「父」と呼ぶことも許されない境遇から、義賊になっていきます。

ドラマのウンジョも「庶子」
ドラマのヒロイン、ホン・ウンジョも、両班の父と賤民の母のあいだに生まれた娘という設定です。小説のギルドンと同じ境遇を、女性に置きかえているんですね。
さらに、ウンジョの母の名前は「チュンソム(春蟾)」。実は、1920年代に作られたある族譜(家系の記録)には、実在のホン・ギルドンの母の名前も「春蟾」と書かれています。ただし、この族譜は誤りが多く、信頼性は低いとされています。ドラマはこの言い伝えを拾っているのかもしれません。

② 登場人物のモデル早見表

⚠️公式に「この人がモデル」と発表されているわけではありません。名前や設定から考えられる対応です。

ドラマの人物モデルと考えられる実在人物史実では?
ホン・ウンジョ(盗賊「吉同」)ホン・ギルドン実在の盗賊。女性だったのは創作
王イ・ギュ燕山君1506年、クーデター(中宗反正)で廃される
王妃シン氏燕山君の王妃・慎氏廃されたあとも生き延びる
クムノク(王の女人)チャン・ノクス燕山君が寵愛した側室。反正で処刑される
大妃貞顕王后?燕山君の継母で、のちの中宗の母
大君イ・ヨル晋城大君(のちの中宗)反正で担がれて王になる
シン・ヘリム(王妃の姪)端敬王后大君と結婚し、7日だけ王妃になる
イム・サヒョンイム・サホン燕山君の側近。反正で殺される
イム・スンジェとイム・ジェイイム・サホンの息子たち③で解説
ホン・ミンジク(ウンジョの父)洪貴達(ホン・グィダル)?燕山君に逆らって失脚した重臣

王の名前を架空にしてあるのは、史実に縛られずに物語を作るためだと考えられます。

「庚午年の事件」も架空です
ホン・ミンジクが失脚した「庚午年」の事件は、史実にはありません。燕山君の時代(1494〜1506年)に庚午の年はなく、実際に起きた大事件は戊午士禍(1498年)と甲子士禍(1504年)です。王を架空の「イ・ギュ」にしたのと同じく、事件もドラマ用に作られたものと考えられます。

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③ 史実を知ると「え〜っ」となるポイント

シン・ヘリムの運命

ドラマで大妃が大君イ・ヨルに引き合わせる、王妃の姪シン・ヘリム。

史実に当てはめると、王妃の姪=端敬王后(タンギョンワンフ)です。燕山君の王妃・慎氏の姪で、晋城大君(のちの中宗)と結婚しました。

そして1506年、夫が王になって自分も王妃になりますが、わずか7日で宮殿を追い出されてしまいます。

史実を知っていると、ヘリムが出てくるたびに「この子、どうなるの…」とハラハラしてしまうんです。

ヘリムとイ・ヨルのモデルになった2人は、史実ではどうなったのか? “ちょっと残念な”中宗の素顔も含めて、こちらで書いています。

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イム親子は、史実でもドラマ以上に濃い

イム・サヒョンのモデルと考えられるイム・サホンは、燕山君の時代を代表する「奸臣」です。燕山君が出てくるドラマには、必ずと言っていいほど登場します。

実際のイム・サホンには、こんな息子たちがいました。

息子どんな人?
長男イム・グァンジェ睿宗の娘と結婚。燕山君の暴政が本格化する前の1495年に亡くなる
次男イム・ヒジェ父と正反対の士林派。燕山君を批判する詩を書き、甲子士禍で処刑される
三男イム・スンジェ成宗の娘と結婚。燕山君の側近として、全国から美女を集める役目を担った

イム家は、長男とイム・スンジェを王の娘と結婚させ、イム・サホン本人も王族の娘を妻にしていました。王家と何重にも縁を結んで、力をつけていった一族なんです。

ドラマのイム・サヒョンの息子たちと比べてみると、

  • 最悪の長男イム・スンジェ → 実在のイム・スンジェがモデル。名前もほぼ同じです(ただし史実では長男ではありません)
  • 庶子の次男イム・ジェイ → 架空の人物。ただ「政略結婚の駒として育てられた」という設定や、父と違う道を選ぶ息子といった史実のイム家と重なります

というように、実在の息子たちの要素を分けたり混ぜたりしているように見えます。

権力は、息子の命より重かった?
燕山君を批判した次男イム・ヒジェは、父イム・サホンの弱点でした。息子が処刑されても、イム・サホンは燕山君のそばを離れませんでした。
ドラマのイム・サヒョンが息子たちを「道具」のように扱う姿は、史実のイム家を知ると、あながち作り話とも言えないのです。

まとめ:「こうだったらいいのに」の物語

ドラマは、王も悪役も倒されて、ウンジョとイ・ヨルが結ばれるハッピーエンドです。

でも史実では、ホン・ギルドンは1500年に強盗として捕まり、その後どうなったのかもわかっていません。1506年には反正が起きて燕山君は廃され、王妃の姪(ヘリムのモデル)は、わずか7日で王妃の座を追われました。

最終回で流刑地へ送られていくクムノクも、史実より優しい結末です。モデルと考えられるチャン・ノクスは、反正のあと処刑されています。ドラマは、彼女にも「やり直す道」を残してあげたのかもしれません。

『愛する盗賊様よ』は、暴君・燕山君が君臨した暗い時代を舞台に、「こうだったらいいのに」を描いた物語なんだと思います。史実を知ってから観直すと、ハッピーエンドがもっと愛おしく感じられます。

どこで観られる?
『愛する盗賊様よ』『七日の王妃』は、U-NEXTで観られます(2026年11月時点)。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました🍵