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策士「韓明澮(ハン・ミョンフェ)」って誰?韓国時代劇の裏にこの男あり!

韓国時代劇を何作か見ていると、「あれ? この歴史上の人物、前に見たドラマにも登場していた!」と思うことはありませんか。

『根の深い木』『王女の男』『観相師 -かんそうし-』『王と私』——。実はこれらの名作の裏には、「韓明澮(ハン・ミョンフェ)」という一人の策士が関わっています。

まずは、今も語り継がれる『根の深い木』の、あの衝撃的なラストシーンから紐解いていきましょう。

なぜ『根の深い木』のラストで「鳥肌」が立つのか

『根の深い木』は、世宗(セジョン)大王が民のために命がけで「ハングル(訓民正音)」を作り上げるまでを描いた名作です。ドラマの結末では、文字が民に広がり、誰もが読み書きできる希望に満ちた未来が示されます。

ところが、その最高のハッピーエンドの直後、最後の数十秒で若い男が登場し、耳の裏のイボを気にしながら、ボソッと自分の名を明かすのです。

「私の名は、韓明澮(ハン・ミョンフェ)……」

歴史を知る人にとって、これは恐怖以外の何物でもありません。なぜなら彼はこの後、世宗の息子・首陽大君(スヤンデグン=後の7代王・世祖)の「右腕」となり、世宗が作った平和な世を血で染める大クーデターを起こす張本人だからです。韓国の視聴者が「ここで繋がるのか!」と絶叫した、伝説のラスト演出でした。

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クーデターの黒幕——「殺生簿」を握った男

1453年、首陽大君は幼い王・端宗(タンジョン)から王位を奪うため、クーデター「癸酉靖難(ケユジョンナン)」を起こします。その参謀として暗躍したのが、韓明澮でした。

💡 ワンポイント解説:癸酉靖難(ケユジョンナン)とは?
幼い王・端宗から王位を奪うため、叔父の首陽大君(後の世祖)と韓明澮らが起こしたクーデター。反対派の臣下を大量に粛清した、朝鮮王朝史でも屈指の血塗られた事件です。

クーデターの夜、韓明澮が手にしていたのが、味方と敵を分ける恐怖のリスト「殺生簿(サセンボ)」でした。宮殿に入ってくる臣下を検問し、首陽大君に反発する者はその場で容赦なく殺害、味方する者だけを生かす——。たった一枚のリストで「生殺与奪の権」を握っていた男が、韓明澮だったのです。

この冷酷な策士ぶりを描いたのが、映画『観相師 -かんそうし-』とドラマ『王女の男』です。特に映画『観相師』では、天才観相師(演:ソン・ガンホ)が韓明澮の顔を見て、こう見抜く場面が強烈な伏線になります。

「この男は将来、首を斬られて死ぬ相だ」

それを知った韓明澮は、殺される恐怖から異常なまでに保身と警戒心を強め、首陽大君を絶対的な王にするために冷徹な知恵を絞っていきます。この「首を斬られる相」が、後にとんでもない形で回収されることになります。

💡 ワンポイント解説:なぜ韓明澮の役は「耳」や「首」に特徴があるの?
史実の韓明澮は七か月で生まれた未熟児(早産)だったと伝えられ、体が小さく、耳の形に特徴があったといわれています。『根の深い木』で耳の裏のイボを気にしたり、『観相師』で首を気にしたりするのは、この伝承をドラマ的にオマージュしているのです。

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娘を王妃にした男——権力の「永久機関」化

クーデターを成功させた韓明澮は、一過性の軍師では終わりませんでした。ここから彼の本当の恐ろしさ——「政略結婚による権力の永久機関化」が始まります。

彼は三女を8代王・睿宗(イェジョン)の妃に、四女を9代王・成宗(ソンジョン)の正室(恭恵王后)へと嫁がせます。王室に自分の血筋を送り込むことで、韓明澮は権力者から「王のお義父さん(外戚=がいせき)」へと昇格。王が代わっても、誰も彼に手を出せない絶対的な地位を築き上げたのです。

さらにこの時代、世祖の長男の妻であり後に成宗の母となる仁粋大妃(インスデビ)と手を組み、宮廷政治を完全にコントロール下に置きます。ドラマ『王と私』などで、主人公たちがどれほど抗っても勝てない「絶対的な権力構造」が、ここに完成したのでした。

🏙 ちょっと寄り道:あの高級住宅街も韓明澮ゆかり
晩年の韓明澮は、漢江(ハンガン)のほとりに「狎鴎亭(アプクジョン)」という風流な楼閣を建てました。実はこれ、現在のソウル有数の高級住宅街「狎鴎亭」の地名の由来。カンナムのおしゃれな街の名前に、500年前の策士の名残が生きているのです。

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そして予言は当たった——死後17年の「剖棺斬屍」

権力を極めた韓明澮は、72歳で天寿を全うします。クーデターの功臣として富も名声も手にし、畳の上で穏やかに世を去った——「なんだ、観相師の予言はハズレか」と思いきや、彼の本当の恐怖は「死後」に待っていました。

韓明澮の死から17年後、朝鮮王朝史上最大の暴君と呼ばれる10代王・燕山君(ヨンサングン)の時代が訪れます。

実母・廃妃尹氏(ペビユンシ)が毒殺された真相を知った燕山君は、その死に関わった者たちへの狂気の復讐劇「甲子士禍(カプチャサファ)」を開始。成宗の時代に廃妃尹氏へ毒薬(賜薬)を下す決定へ関与していた韓明澮も、すでに墓の下にいながら標的とされてしまいます。

燕山君が命じた罰は「剖棺斬屍(ブグァンジャムシ)」。生きている間、誰よりも首を斬られることを恐れた韓明澮は、死後17年が経ってから、本当に墓を暴かれて首を斬られたのです。

💡 ワンポイント解説:剖棺斬屍(ブグァンジャムシ)とは?
墓を暴いて棺を開け、遺体を引きずり出して首を斬り落とすという、死者に対して行われる当時もっとも重い刑。斬った首は、見せしめとして民衆の前に晒されました。

「この男は、将来首を斬られて死ぬ相だ」——映画『観相師』のあの予言が、17年越しに現実となった瞬間でした。

おわりに:彼を知ると、名作がひとつの「大河」になる

『根の深い木』のラストで名を明かし、『観相師』『王女の男』でクーデターを操り、『王と私』で宮廷を牛耳り、そして燕山君の時代に墓を暴かれる——。韓明澮という一人の男を知るだけで、時代もキャストも違う名作たちが、一本の線で繋がっていきます。

次に韓国時代劇を観るとき、ぜひ「この物語の裏で、韓明澮はどう動いていたんだろう」と想像してみてください。バラバラだった名作が、ひとつの巨大な大河ドラマとして立ち上がってくるはずです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🍵